全ては感情からはじまる

感情活用研究家(EI実践家)三森朋宏が、アレコレ感じたことを感じるままにお伝えします

「女子高生7名過呼吸で搬送」の問題を感情の科学から考えてみた

遠足の女子7名が過呼吸で倒れた5月13日(日)に新橋駅のSL広場で起きた事件。
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https://www.jiji.com/jc/article?k=2018051101197&g=soc

起きたことに対する責任の所在は、言及せず、現象について感情の科学から考えてみました。

ポイントは2つです。

1つは「感情は伝播する」ということです。人は原始の時代から群れをつくり、肉食動物などの脅威に対応してきました。言葉を介さずに一瞬で群れに異常を知らせることが必要でした。ストレスを伴う強い感情がダイレクトに伝わる機能が備わったのでしょう。この機能は、いまも人の脳に備わっており、心理学の世界では「感情は伝播する」ことが通説となっています。近年脳科学の研究から運動野のブローカー野にミラーニューロンと言われる脳の機能があり、人の行動(身振り手振り、表情など)を自分の中に鏡のように作り出す。この機能は、サルなどの霊長類にも備わっている。今回のように強いストレスは、強いマイナス感情によって引き起こされ身体に生理現象として表れます。次々と女子高生が倒れたのは、感情が伝播したことで引き起こされたとのでしょう。大衆が一斉に恐れおののき逃げ惑うパニックもこうして起きます。

では、倒れなかった生徒もいたのは、何が違うのでしょうか?二つ目は、このことについてです。

2.自己認識力と調整力

みなさんは、ご自身の「今の感情」をどの程度はっきりと把握していますか?(How do you feel now ?)
穏やか?ほっこり?まったり?イライラ?ムカムカ?シクシク?ハラハラ?

今の自分の感情状態を把握する自己認識力が備わっているか?がレジリエンスの出発点となります。現在の状態が分からなければ調整のしようもないからです。今の感情状態が把握できていれば、周囲の人から伝播してきたことによって自分の感情が動かされたことに気づけるようになり、他者から伝わってきた感情を自分の感情と切り離すように調整できます。感情状態を把握し、調整する能力は感情知能(Emotional Intelligence, EQ)の一つです。この能力は後天的に開発が可能ですから、育つ環境などによって学習した可能性があります。

もう一つは、遺伝によるものです。遺伝によって敏感に他者から感情が伝播しやすい人とあまり影響を受けない人がいることが分かってきています。遺伝の影響による個人差はありますが、EQを後天的に開発することで、改善を図ることができると考えられます。

最後に、責任の所在の言及を避けたのには、大きく2つ理由があります。

1つは、学校を取り巻く社会全体における Social Emotional Skill(社会性と情緒的能力) の低下です。先生の告げたこともショックではあったとおもいますが、そもそも遅刻したのは、本人です。自己の責任を理解し、先生に言われたことを正しく解釈し、冷静に内省することが難しかったのだと思われます。スポーツ選手として考えた場合には、逆境をはね除けたり、乗り越えるレジリエンス(心的な抵抗力、回復力)が低いようにも思われます。自己の責任を問う社会性とレジリエンスという情緒的能力の低下を問うべきではないかと思います。

2つ目は、恐らくこの様なことになることは、先生も予測し得なかったであろうということです。先生一個人の問題ではなく、学校を取り巻く社会全体の問題として家庭教育のあり方を含めて考えるべきだと思います。